「オリンピック選手にしたい」は親のエゴ!? 習い事の押し付けがもたらす悲劇とは?
2019/02/24
幼少時の子供の習い事は、
親のエゴである場合がほとんど!?
編集部:「共同の課題」だけど、親は前に出過ぎないわけですね。
熊野氏:親は応援者っていうスタンスがすごく大切です。例えば子供が、「ピアノのレッスンやりたくない!」ってグジグジなっちゃったら、「何でやらないの!」なんて怒るのはもってのほかで。「そうだね、やりたくない時もあるよね。でもパパやママが手伝えることがあったら言ってね。レッスン、見ててあげようか?」って、「共同の課題」ととらえて、気持ち的には一緒に取り組みつつ、ピアノをやるのは子供なんだから、そこは主体性を尊重する。
この場合も、もし「やっぱりレッスンしない、もうピアノはやめたい」ってなったら、「そうなんだね、OKだよ」って納得すべきで。心の中では、「あぁ、このピアノ30万円もしたのに……、2ヶ月しか使わなかった……」、って不満を抱いても、それは「親の課題」として引き受けないと。子供にしたら「そんなん知らんがな、だって思ったよりつまんなかったんだもん」ってことだからね。
編集部:30万円……。でもそこは、涙を飲むしかないですね(笑)。でもこういうことって、子供が小さい時期の習い事だと頻発しそうですね。
熊野氏:そうね。3歳、4歳の子が、「空手やりたい、ピアノやりたい」なんて言い出すのは思いつきがほとんどで、先のことまで深く考えているわけがない。自分でやりたいっていうのはまだいい方で、親の意思でやらせている場合がほとんどでしょう。
だから親は、子供に対して「私のエゴにお付き合いいただいている」くらいの気持ちでいるべきでしょうね。私が英語にコンプレックスがあるから、私がピアノに憧れていたから、あなたの貴重な時間を使わせていただいている、本当にありがとう! ってね。そう思っていれば、自分も気が楽だし、子供の負担にもならないでしょ。うまくいかなかったら全部子供のせいにしちゃう、子供にとってはそんなイヤなことはないもんね。
○習い事を「共同の課題」ととらえ、一緒にがんばれる関係性を築く。
○「共同の課題」であっても、主体は子供であることを忘れない。
○幼少時の習い事は「親のエゴでやらせている」と自覚する。
プロフィール
熊野英一(くまの・えいいち)
アドラー心理学にもとづく「親と上司の勇気づけ」のプロフェッショナル。株式会社子育て支援代表取締役。1972年、フランス パリ生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学し、MBA取得。製薬大手企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事する。2007年、株式会社子育て支援を創業。日本アドラー心理学会正会員。著書多数。最新刊は『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(小学館)