インタビュー

伊勢谷友介さん&龜石太夏匡さんにインタビュー! “SDGs時代”に父親がすべきことは?

持続可能な社会を実現するためのグローバル目標「SDGs」。父親世代は、子供たちが生きる未来をどのように創造したら良いのだろうか? 今回は、日本において社会課題解決のための取り組みを行うリバースプロジェクトの伊勢谷友介さん、龜石太夏匡さんにお話を伺った。

そもそも「SDGs」とは?

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「SustainableDevelopment Goals」の略称で、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際社会共通の目標。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択。地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓い、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されている。

REBIRTH PROJECTとは?

様々な才能を持ったアーティスト・プロデューサーが集結し、2009年設立。「人類が地球に生き残るためにはどうするべきか?」をテーマに、人間がこれまでもたらした環境や社会への影響を見つめなおし、未来における生活を新たなビジネスを通して提案。衣、食、住、教育、芸術、まちおこしといった分野において、社会課題の解決をクリエイティブな視点から試みる。

 代表のお二人にインタビュー! 

株式会社リバースプロジェクト代表

伊勢谷友介 YUSUKE ISEYA

1976年、東京都出身。1996年、大学在学中にファッションモデルとしてデビュー。1998年に活動を開始した俳優業では、映画やドラマなど多岐に渡って活躍している。『カクト』『セイジー陸の魚ー』には映画監督・脚本家としても参加している。2009年、株式会社リバースプロジェクトを設立。

 

株式会社リバースプロジェクト代表

龜石太夏匡 TAKAMASA KAMEISHI

1971年、東京都生まれ。1993年、大学在学中に2人の兄が起業したアパレルショップ「PIEDPIPER」に参加。2002年からは映画の脚本家・プロデューサーとしても活躍し、『カクト』『ぼくのおばあちゃん』『セイジー陸の魚ー』などを手がける。2009年、株式会社リバースプロジェクトを設立。

 

未来に対して
「何が必要なのか」を考える

――今回は、国連サミットで2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)についてお話を伺えればと思います。これまでにREBIRTH PROJECTの事業を通じておふたりが社会課題解決の糸口を提示されてきたようなことが、いよいよ、より実感を持って今の父親世代の仕事の中でも求められるのかなと考えていますが。

伊勢谷:まず、今の父親世代が理解しなくてはならないのは、自分たちが教育を受けてきた時代とは、人間にとってのテーマがまったく変わったということ。

これまでの時代の教育では、大きな社会のなかでアベレージをクリアしていくことが賢い・正解とされてきた。けれどもこれから未来を作る子供たちは、それぞれが個々の、自分の特性を活かして生きていく必要がある。しかも同時に、SDGsのような今の時代のスタンダードとされる指標・視点を持ち、自分の得意を活かして課題を解決していくことになります。

つまり、地球人として何をすべきかを想像できる人間が必要とされているし、実際にもう出てきているんです。”これが正しいから、自分も同じことやれば正しい”ではなく、どんな風に向き合えばいいかわからない未来に対して、”僕らに必要な要素はこれなのでは?”と考えるところから始める必要があるのが今の時代なんです。

龜石:SDGsがグローバルスタンダードとなる時代において、親世代が自分にまず問いかけるべき基準としては「子供に、自分が働いている会社が責任を持って未来の為になることをしているのかと聞かれた時に、胸を張ってYESと言えるのか」ということ。

企業体でやっていることはすぐに変えられないかもしれないけれど、目標を持って何かを行うということ、そういう問いを自分たちに向けること自体にまず価値があるのだろう、と考えています。

伊勢谷:お父さんたちは、自分の目の前の仕事は忙しいし、プライベートの時間もそんなに無い人もいますよね。子供たちの未来に漠然と不安を持っているけど、行動に移せるのかというと、「絶対的に時間がないから無理だよ」と言ってしまうかもしれない。だけどそれは社会課題という時限爆弾をそのままにしているようなものでしかなくて。――目の前のことでいっぱいいっぱいになってしまっているということですね。

忙しいから出来ないとかで色々と断る大人がいますけど、「そういうことじゃないよね?忙しいのはなんのため?」と問いたいですね。何に想像力と時間を使うべきなのか考え始めることが、現在の大人にとって必要なはず。そういう視点がもてるようになれば、自分の仕事のなかで、変えられることがあるとわかるはずです。

お父さんたちには、SDGsを4文字の言葉だけで捉え、具体的な内容もわからないまま「勉強しなければいけないもの」とストレスに感じてほしくない。もし父親が、惰性でSDGsを考えていたとしても、志が無いわけですから、新しいスタンダードの中で育った子供は納得できなくなるわけですよ。

龜石:父親世代が社会課題について学んだり捉えたりする入り口としては、仕事に落として考えることが一番の近道だと思います。SDGs的な指標がコンセプトとなって企業のなかでプロジェクトが推進されれば、否が応でもある程度長期的なビジョンに入ってくる。結果として多くの大人が新しいスタンダードを学ばなければいけない、あるいは知るきっかけになりますから。

――今回お邪魔しているここ『AHBASE』も、SDGs的な指標を持ったREBIRTH PROJECTの事業のひとつですね。

龜石:『AHBASE』の設立は、ペットに関する社会課題の根本にはペットと人間の関係性の見直しが必要だという考えから始まりました。SDGsでいうと、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」中の「2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国家・地域の計画策定、開発プロセスおよび貧困軽減戦略、ならびに会計に組み込む」というターゲットに関連づいています。

また、単なるドッグパークでなく、犬と人間が共生して暮らせる街やコミュニティを作ろうというのがひとつ大きなテーマです。これはゴール11「住み続けられるまちづくりを」にも繋がります。犬を飼っていない人にも直結する様々な課題に複合的にアプローチしたいんです。地域も巻き込みながら、SDGsの観点につながる流れをビジネスとして挑戦できているかなと思います。

変化し続ける”スタンダード”を
子供たちとともに学び続ける

――社会課題と一言で言ってもたくさんあるわけですが、そもそもの姿勢として親世代に必要なのは、子供世代に直結する課題を先送りしないということでもありますよね。

伊勢谷:未来に対して僕らに必要な要素を考える視点ですよね。二酸化炭素がコレくらいあって酸素がコレくらい必要だと。それをキープするには森林がどれくらい必要で。

そういうことを”株式会社・地球”みたいなものの中で収支をコントロールして、部署ごとが喧嘩しない状態を保って……という風に考えられる視点を持った子供がこれからおそらく出てくるんですよ。

そのとき「お父さん、今どの視点で問題を考えていますか?」と問われることになる。大人の人ほど本当に効果的な行動をできていないんですよね。それが結構大きな問題だと思います。

龜石:そしてもうひとつ、僕がすごく危機感を感じているのは、親になると目の前にあることをクリアするのが本当に大変で、どうしても”自分の家の子が幸せになることのみを願う”ようになってしまう風潮というか……。日々のことに追われるうちに、そういう狭い考え方になってしまいがちなのかなと感じています。

伊勢谷:もしも親が、”自分の子が良ければ他はどうなってもよい”という選択をしてしまったら、子供もいずれそういう偏った大人になってしまう。それはその子にとって、とても不幸なことです。

この先の社会の中で子供を孤軍奮闘させないように、大人も一緒に問題にトライする。社会とこういう風になっていきたいよね、だから自分はこうやってアプローチをする、とみんなで話し合う。挑戦してみてダメだったとしても「じゃあどうやったらできる?」というのを一緒に考えてくれる大人が子供にとっては必要です。その経験から、転んでも立ち上がるから次に転ばなくなるのだと学ぶんです。

子供が社会の課題だと感じることに出会ったとき、自分も共有し、一緒に解決への方向性を見つけて歩む。そんな風に後押しできる大人になるためというのも、親がSDGsを学ぶ理由のひとつだと思います。

親も子供も一緒になって
少しずつ螺旋状に進化していく

伊勢谷:僕らが目指しているのは、ある目標を持って動き出したときに、同じ目標を持つ人を増やすことによってその実現性を高めていくこと。概念的に大きなことだけど、それを株式会社で表現していこうとしてきました。

“一発で変わっていくアクションプラン”ではなく、みんなが無理だと思うところに無理ではない事例を少しずつでも存在させて「できるんだ!」という自信をつけてもらう。多くの企業がたくさんの問題を持っていて、どんなところから振られても僕らは何かしらの返答をして、かつ事業化してきました。SDGsについてのプロジェクトも同じことが言えると思います。

龜石:REBIRTH PROJECTを立ち上げたときの一番のコンセプトは、アートやクリエイティブの視点を持って社会課題を解決するビジネスをやろう、ということだったんですよ。失敗しながらも、どんどんやってきたことが循環して、また最初の形に戻りながら進化していく。そうやって螺旋状に進化していくものなんだろうなとすごく感じています。

そんな風に子供達がどんどん挑戦していく時代になるはずなので、そこへ親たちも一緒に参加していけたらいいなと思いますね。

親子で実践できるアクションガイド


「SDGs」で掲げられる17のゴールは、上図の通り。国際的な大きな目標ではあるが、それを達成するのはひとりひとりの行動の積み重ねだ。

たとえば、持続可能で環境にやさしい取り組みをしている企業を調べ、そこの製品やサービスを積極的に購入するようにする。それだけで、世の中にあふれているたくさんのモノの中から製品を選ぶ「新しい基準」を子供と一緒に考えることができる。

SDGsの取り組みをどのようにビジネスに活かしているのか常にチェックすることは、SDGs的目線で自分の仕事を見直すヒントにもなるだろう。

DATA


[取材場所]AHBASE(エーエイチベース)
REBIRTH PROJECTと、ペットショップ「Pet Plus」を全国に展開する株式会社AHBとの共同事業としてオープン。ドッグヘルスケア、ドッグホテル、しつけトレーニングをメインとするサービスに加え、カフェを併設。犬と暮らす人もそうでない人も楽しめる”ドッグパーク”。

住所:東京都墨田区横網1-9-2 NTTドコモ墨田ビル低層棟
TEL:03-5809-7786
営業時間:11:00-18:00(土日祝10:00-18:00)


Photo >> NATSUKI MATSUO(MATSUO OHKAWA NAOTO Photography)
Text >> EMIRI SUZUKI
Styling >> NOBUHIRO KASAI
Hair&Make >> ShinYa(PRIMAL)

FQ JAPAN VOL.50より転載

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