時事・コラム

「ジタハラ」「ボスジレンマ」って何? 働き方改革が生み出した課題とは

人生100年時代を生き抜くために、今すべきこと。これからは、自分に合わせて人生をデザインすることが非常に重要になる。そのためにすべきことは何か。今回は、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也さんに詳しいお話を伺った。

人生100年時代を生き抜く
ライフ&マネープラン

日本は既に世界最先端の高齢化社会に突入しており、人生100年時代を迎えているといわれています。そんな時代に対応すべく、ファザーリング・ジャパンは「ライフシフト」という考え方を提案しています。ライフシフトとは、自分に合わせて人生をデザインすること。そのために重要となるのは無形資産です。仕事上のスキルや人間関係も無形資産の1つですが、地域活動や趣味などを通じて得られる仲間、幸福を与えてくれる家族なども該当します。そうした無形資産を獲得しておくことで、人生のあらゆるステージを楽しみながら乗り越えていくことができるのです。

一方で、100年時代といわれるように人生が長くなり、生き方・働き方も多様化して行く現在でも、お金は幸せであるために必要な要素の1つでもあります。目的のない蓄財や私財を増やすための投資を勧めるものではありません。家族や社会の笑顔を増やすためのマネープランを考えておく必要があるのです。今現在をイクメンとして子育てに邁進しているパパにとっては、自分には関係ない話のように感じるかも知れません。でも、子供が大きくなるのなんて、あっという間。小学校高学年になれば、塾、習いごと、受験など、幼児期よりも遥かにお金が必要になるのは目に見えています。そうした事態に直面して慌てることがないよう、ファザーリング・ジャパンでは『パパの100年ライフ&マネープラン』セミナーを開催します。FQ読者の皆さんには特別に(笑)、そのポイントをお伝えしましょう。

さて、ライフ&マネープランに関する現実的な話としてお奨めしたいのは、社会への投資です。興味がある社会問題があるなら、その分野で活動している会社やNPOに出資したり、あるいは(無償であっても)働いてみたらどうでしょう。地域活動やPTA活動は時間の投資です。そうした活動から得られる知識や経験、人との繋がりが無形資産です。それが長い人生を幸せに生きて行く助けになってくれるのです。

人生100年時代を生き抜くための
ライフ&マネープラン 3つの心得

①国・地方自治体・会社の社会保証制度を知るべし!

ライフ&マネープランの根幹を成すのは国・地方自治体の社会保障制度。住宅ローンや教育ローンなどは、会社が独自の制度を設けている場合もある。まずは自分が利用できる社会保証制度を把握するべし!

②共働きをデフォルトとすべし!

ライフシフトするに当たって、いきなり夫婦一緒に会社を辞めて起業する、というのはリスクが大き過ぎる。夫婦のうち1人が最低限の収入を確保しておけば、もう1人は余裕を持ってチャレンジできる。リスクを考えて行動すべし!

③ワーク・ライフ・バランスを考慮すべし!

ライフシフトするうえで大切なのは、会社以外の場所で得られる無形資産。その無形資産を築くには、それなりの時間が必要となる。ワーク・ライフ・バランスを整えたうえで、人生100年時代を生き抜くマネー&ライフプランを立てるべし!

 

ジタハラとボスジレンマは
働き方改革の副産物だ

新語・流行語大賞のノミネート30語に、イクメン&イクボスと関係の深い言葉が入りましたね。「時短ハラスメント」、略してジタハラです。これも働き方改革が生んだ1つの課題です。仕事を減らさずして時短を強要し、それでいて同等の成果を要求された結果、部下へのハラスメントと捉えられてしまう。本来的には「早く帰って良いよ!」と言われているのだから部下は喜ぶはずですが、業務の無駄削減や効率化がセットになっていないため、無理難題を押し付けられた形になってしまうわけです。

管理職の側も問題を抱えています。経営層からの労働時間を減らせと指示を受けている以上、部下に残業させるわけにはいかない。だから部下は帰宅させて、変わりに自分が残業せざるをえない。管理職の側では、ボスジレンマに陥っているのです。

このようにジタハラとボスジレンマは、働き方改革が生み出した副産物であり、表と裏の関係にあります。管理職には、業務の効率化、無駄の削減、増員、目標の再設定などをする義務があります。これからの職場には、正社員だけでなく、契約社員や時短社員、派遣社員、延長雇用した社員やパートタイマーなど、多様な雇用形態で働く社員が増えていきます。それでもイクボスたるもの、職場にいる全ての社員を幸せにしなければなりません。

ジタハラ&ボスジレンマは、働き方改革が始まった過渡期の今だから顕在化している問題であり、将来的には解決することは明白です。しかし、過渡期だからと今を諦めてはいけません。子供はスクスクと育っていきます。ジタハラやボスジレンマが解決されるのを待ってはくれません。「自分が職場を変える!」という気概を持って取り組んで欲しいですね。

PROFILE

安藤哲也 TETSUYA ANDO

1962年生まれ。2男1女の父親。2006年、NPO法人ファザー リング・ジャパン(FJ)を立ち上げ代表を務める。NPO法人タイガーマスク基金代表。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員などその活動は多岐に渡る。新著は『「仕事も家庭も」世代の新・人生戦略「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』(扶桑社)


Text >> REGGY KAWASHIMA

FQ JAPAN VOL.49より転載

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