時事・コラム

帰宅したくない…パパが“フラリーマン”になる理由

働き方改革が進む一方で、職場環境も社員の意識も進まず大きな矛盾を抱える社会情勢のなか"フラリーマン"が話題になっている。その心理を精神科医の香山リカ先生が読み解くと、彼らだけを責められない理由があった。

“フラリーマン”の姿に
子育てママから怒りの声

“フラリーマン”という言葉をご存知でしょうか。仕事が早く終わっても真っ直ぐ家に帰らない男たちをNHKが昨年9月に取り上げ、その後ネットや多くのメディアで大きな反響を呼びました。

子育て世代からは「ナチュラルに腹が立つ」「うちならぜったい離婚」「パートナーには許可を取った方がいい」「どこにいるのか連絡がないと心配する」といった”怒りの声”が多く上がり、かたや60代の女性からは「早く帰宅されても対応に困る」といった賛成派の声も聞かれ、意見が真っ二つに分かれています。

私は月に2度ほど、産業医としていくつかの企業を訪問するのですが、そこのカウンセリングでは、働き方改革による多数の副作用、つまり現代社会が抱える矛盾が明確に浮き彫りにされます。フラリーマンが非難されるのもよくわかりますが、その心理にはそうせざるを得ない深い理由があるのです。

“フラリーマン”の心理とは?
真っ直ぐ家に帰らない理由

1つは、職場のストレス解消。過労死や精神的なハラスメントによる自殺が増加し、安倍首相は2016年9月から働き方改革の取り組みをスタートしました。ところが退社時間を優遇されるのは主に20代の若手社員。業務量は減らないために働き盛りの30〜40代(子育て世代)にシワ寄せがきています。毎日仕事が終わるたび、達成感を味わうどころか、燃え尽きたような虚しさを感じるといいます。当然そのストレスを家庭で発散することはできません。

2つ目が「自分の時間が欲しい」という訴え。自分、つまり夫でもなくパパでもなく◯X社の営業マンでもない匿名の自分。特に何かをしたいわけではなく「何をしてもいい時間=自由」を求めているのです。

3つ目は、家に帰りたくない何かしらの理由が家庭にある場合。例えば「家事や育児を機械的に無理やり妻に分担され、うまくできないと今度はひどく叱られる」といった声です。帰りが少し遅いと「何をしていたの?」と責められるといいます。

 

 

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