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話題の教育経済学から学ぶ、効果的な幼児教育って? 

近年話題となっている「教育経済学」。育児への熱が高まるなか、子供への効果的な教育方法を探るにあたり、教育における科学的根拠=教育エビデンスに注目が集まっている。そこで今回は慶應義塾大学経済学部教授の赤林英夫教授に教育経済学とはどのようなものか話を伺った。

インセンティブ理論で
子供のやる気を引き出す

インセンティブ理論とは、勉強したらご褒美を与えて勉強しなかったら罰を与えるなどの“賞罰”がどれだけ影響を与えるか、という考え方です。この労働経済学の考え方を応用し、教育経済学では、外部からではコントロールできない個人の努力、子供の“やる気”に影響を与える方法が研究されています。

ただし、子供の教育においては、目先の部分的目標に対するインセンティブが全体にとってマイナスに作用することや、インセンティブの対象として測定されるものにどうしても力の入れ具合が偏ることにつながる危険性をはらんでいるので注意が必要です。「いじめ0」という数値目標が示されると、いじめを隠蔽することで目標を達成するようになったりするのはその一例です。

このインセンティブの考え方や評価法を公立の学校にもどうかという議論がありますが、安易に導入すべきではないと考えています。全国学力テスト等で、数学や国語の学力をめぐる競争が始まったことで、子供の他の部分の力が変化していないか、という研究も必要でしょう。ビジネスの世界でも、短期的な業績UPに対してボーナスを与えると、長期的な業績が見えなくなるも研究が進められていますが、どういったインセンティブバランスがベストか、という結論は確立されていません。


費用対効果の観点で
教育を“科学”する

教育経済学は昨今世界中で、どんどんその考え方が広がっている学問です。そもそもは、間や資金などの資源を教育にどう使うべきか、資源をどう配分すれば子供や若者の広い意味での社会での“力”を養えるか、研究するものです。つまり“教育に関する費用対効果”を研究することが原点と言えます。本来、教育や家庭環境が子どもに与える影響は教育学や発達心理学、小児科学など、他の科学分野において長く研究されてきました。これら他の分野の研究結果を踏まえながら、教育経済学では、教育的活動の効果を、可能な限り金銭価値にして議論している点で少し違います。

こうした研究姿勢は、「教育をお金で考えるなんて」「市場原理主義的だ」と批判されることがありますが、どのようなことにもお金と時間が必要です。どんなことでも、どのような基準で何をどう選ぶか、が大事ですよね。教育経済学は、費用効果分析を基に、その選択基準の1つを提供することを目的としています。

金銭に直して考える、というは、お金だけを重視している、個人の損得勘定だけを考えている、ということでは全くありません。教育経済学における費用対効果の追求は、人生における幸福感や満足感、健康寿命の向上、社会全体の安全や安心に対しても適用されるようになっています。教育経済学は、他の経済学分野と同様に、最終的には〝社会全体の幸福〞を追求するものなのです。

 

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