なぜ子供たちにプログラミング教育が必要なのか? AIに代わる仕事と、生き残る仕事の分かれ目

なぜ子供たちにプログラミング教育が必要なのか? AIに代わる仕事と、生き残る仕事の分かれ目
日本の小学校では、2020年4月より「プログラミング教育」が必修化される。海外では、プログラミング教育はどのように進められているのだろう。フィンランド発の人気プログラミング絵本『ルビィのぼうけん』の著者、リンダさんに直接お話を伺った。

プログラミングの「真の目的」は何か

教育先進国フィンランド発プログラミング絵本『ルビィのぼうけん』が世界的にヒットしている。プログラミング的思考を育む絵本として、世界中の教育現場で活用されているバイブルだ。

作者でプログラマーのリンダ・リウカスさんは、プログラミング教育において、コンピューターと人間が得意な分野をしっかり識別することが大切と言う。

「コンピューターは単純計算や繰り返し作業がとても得意。でも、コンピューターは1人じゃ何もできないから、私たちがちゃんとイメージして、正しい順序・正しい内容を教えてあげる必要がある。それは人間が最も得意なこと。創造して的確に伝える――それがプログラミングです」。

「ルビィのぼうけん」の著者・リンダさん主催のワークショップではPCやタブレットをあまり使用せず、お絵描きや工作、ダンスなどを通してプログラミング的思考の基礎を学ぶ。

今なぜプログラミングなのか。2016年3月、米グーグル社の人工知能囲碁ソフトが世界トップ棋士を破り、株式市場ではAIによる株価指数の予想的中率は約7割へ向上。コンピューターの技術革新が凄まじい勢いで進み、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授の論文「あと10年でなくなる仕事」での、既存の仕事の約半分がAIに取って変わるという大胆な未来予測が世界に衝撃を与えた。コンピューターの知能が人間を越える2045年問題(別名:シンギュラリティ)は現実味を増してきているのだ。

人工知能に代わられる主な仕事

電話営業員/手縫い裁縫師/不動産ブローカー/税務申告書作成者/経理担当者 データ入力者/保険契約の審査員/不動産仲介業者/ローン審査員/銀行窓口係/タクシー運転手/法律事務所の事務員/秘書/レジ係

生き残る仕事

ソーシャルワーカー/聴覚訓練士/作業療法士/口腔外科医/内科医/栄養士/外科医/振付師/セールスエンジニア/心理カウンセラー/人事マネージャー/コンピューターシステムアナリスト/小学校の先生/学芸員/看護師/聖職者/マーケティング責任者/経営者

※英オックスフォード大学、マイケル・A・オズボーン准教授の論文「未来の雇用」で示された職種から抜粋。

リンダさんは、AI時代からこそ人類は他者との“協働”が重要だと言う。

「テクノロジーの世界では、他人が作ったコード“オープンソース”に別の人が書き加えたり、お互いに連携しながらコラボするなんて当たり前。いつだってテクロノジーの根本にいるのは人間。その人間は他の人間に支えられてこそ生きていけるのです」。

プロフィール

リンダ・リウカス Linda Liukas
ヘルシンキ出身のプログラマー、作家、イラストレーター。世界のプログラミング業界における中心人物の1人。約160都市で1万人以上の女性がプログラミングの基礎を学んだワークショップ「Rails Girls」の創設者。


文:脇谷美佳子

FQ JAPAN VOL.40(2016年秋号)より転載

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