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味を感じる機能は乳児期がピークだった!?

FQ JAPAN編集部が子供の不思議に迫ります。今回のテーマは、“赤ちゃんの味覚”について!

子供不思議Lab #02
味を感じる味蕾(みらい)の数は出生前から哺乳期がピークだった!

子供と大人は味の感じ方が違う
お気に入りの粉ミルク以外は頑として飲まない赤ちゃんや、ピーマンなどの苦い食べ物を極端に嫌がる子供…我が子の好き嫌いに手を焼いているパパも多いのでは? しかしながら、これを単なるワガママととらえてはいけない。なぜなら、子供と大人では味の感じ方が違うからである。

味蕾の数は大人より子供のほうが多い
東京医科歯科大学名誉教授で、日本味と匂学会誌のアドバイザーを務める杉本久美子先生は「味蕾の数が一番多いのは、出生前(胎生後期)から哺乳期とされています。この時期は約1万個の味蕾が頬の粘膜や舌全体に広く分布していますが、成長にともない整理され、成人では約6000~7000個になるのです」と教えてくれた。つまり、子供のほうが味の感受性が高いといえるのだ。



まだ謎が多い味覚の世界
なぜ、子供の味蕾は多いのか。その答えはハッキリと出ていないが、哺乳期には「吸乳する」ことで栄養を摂るために、舌全体や軟口蓋(上あごの奥のあたり)まで豊富に味蕾があり、感受性を高くしているのではないかと考えられる。味の情報の伝わり方や脳での情報処理が、どの程度発達しているのかは、まだ分かっていないそうだ。

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毒物を避ける本能が原因?
赤ちゃんは、酸っぱいものを口にするとすっぱそうな顔をするし、苦いものを口に入れるとペッと吐き出したりする。そうしたリアクションも味蕾の数と関係しているのだろうか。「極端な反応を見せるのは、生まれつき腐った物や未熟な果物の味である酸味と、毒物に多い苦味を避ける行動が備わっているからです。味蕾が関係しているというよりは、子供は『この味は嫌!』という感情がストレートに出るのだと思います」と杉本先生は説明する。

パパとママがお手本をみせよう!
苦い野菜も体にいいことを子供に教えないと、自分から食べるようにはなってくれない。「まずは親がおいしく食べて見せるのが大事ですね。茹でたり、油で炒めたり、味付けを工夫したりして、苦みを軽減するのもよいと思います」と杉本先生。つまり、子供が苦手な食べ物を、パパとママがおいしく食べることが好き嫌い克服の近道になるのかもしれない。

▼ 参考書籍
味のなんでも小事典 甘いものはなぜ別腹? (ブルーバックス)、脳と味覚-おいしく味わう脳のしくみ」(共立出版)

【PROFILE】
杉本久美子
大阪大学薬学部卒業。前東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科教授。味覚嗅覚の世界的研究センターである米国モネル化学感覚研究所への留学経験をもつ。現在は東京医科歯科大学名誉教授であり、非常勤講師として教壇に立っている。日本味と匂学会誌査読委員。

Text » TAKESHI TOYAMA

 

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