「イクメン」を自認するものは
“テーマ”を持って子育てすべし

2014.06.16up
 

育児を積極的に楽しむ「イクメン」。
しかしこれをブームで終わらせないために、元祖「イクメン」鈴子光司が立ち上がる!

「〝イクメン”という言葉を流行らせたい」という、長妻昭厚生労働大臣(2009年当時)の働きによって、今ではすっかり世の中「イクメン」ブームに。しかし我らが肉食系DAD鈴木光司氏は、どうもこのブームに疑問を抱いている様子。鈴木光司が考える、本物の「イクメン」像とは?

父親の育児と母親の育児は
全く違うものと心得よ!

「イクメン」ってどうしても「イケメン」を連想するから草食系のイメージがあるんだよね。父親の育児はやらなくちゃいけないことだから、行政がそういう仕掛けをすることは悪くないと思う。もっとコンセプトをちゃんと立てて、たくましい父親の子育てをPR していけば、さらに効果的なんじゃないかな。例えばアーノルド・シュワルツェネガーみたいな筋骨隆々の男が、子供を抱っこしてミルクをあげてる写真を使うとかさ(笑)。とにかくこのブームが、父親からたくましさを削いじゃうようなムーブメントにしてはダメだと思うんだ。父親の育児っていうのは、母親がやってる育児を手伝ってあげることじゃない。父親には父親にしかできない育児があるってことをわかってほしい。両親が2人とも同じ考えで「危ないからあれやっちゃダメ」「汚いからこれ触っちゃダメ」みたいな育児をやってたら、子供は窮屈でしょうがない。窒息死しちゃうよ。

言うなれば、子供がケガしたら「とりあえず舐めとけよ」っていうのが父親で、すぐに救急車を呼びたがるくらいに心配するのが母親。大したケガじゃなかった場合でも、父親も母親と同じようにオロオロして「救急車呼べ!」なんてことになったら社会の大迷惑。救急車は公共のものなんだからむやみに呼んじゃいけないんだよ。まあ、これはひとつの例えだけどさ。

簡単に言っちゃうと、父親の子育ては「たくましさ」を教える、そして母親の子育ては「子供の安全を確保する」ってところかな。2人の立場がちょうど反対にあるからこそ、広い世界で育てることができるんだ。ただし2人ともが父親になったらもっとダメ。子供の安全が失われちゃうからね。うちの妻が僕と考え方が一緒だったら、娘たちは今頃生きてるかどうかわからない(笑)。

多くの父親がどうやって育児していいかわからないって言うけど、僕だって全然わからなかったよ。適当適当(笑)。育児の仕方なんて他人に教わるものじゃなくて、自分で考えるもの。育児の仕方を考えるということは、子供にどう育ってほしいかっていう〝テーマ”を考えることでもあるんだ。そうやって、ちゃんとテーマを持って育児する父親こそ、本当の「イクメン」だと思うよ。

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PROFILE
鈴木光司
1957年生まれ。作家。2人の娘を持つDAD。1990年「楽園」(新潮文庫)で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。その後「リング」「らせん」(ともに角川ホラー文庫)が大ヒット。元祖イクメンとしてFQ JAPAN創刊時より連載ページで自身の育児や愛妻術など父親としてのあり方を提言。

※FQ JAPAN vol.16(2010年秋号)より転載
Photo >> HAYATO IMAI
(2014.6.16up)

 

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